皮膚疾患名の説明

皮脂欠乏性皮膚炎(乾燥肌)

皮膚の水分、油分が少なくなってかさかさしている状態です。

皮膚の一番表面には角層という一枚の薄い膜のような層があって、皮膚の水分、油分を逃がさないよう、また異物が入り込まないように保護しています。この膜は加齢により徐々に減少しますし、手あれなどで失われることもあり、それに加えて冬季は空気の湿度が下がること、暖房によりそれに拍車がかかること、最近の清潔ブームで毎日入浴して体をごしごし洗う方が増えたことなどから乾燥肌の方が増えています。

【症状】
下腿(すね)の前面や腰周り、肩甲骨の周りのように皮下脂肪の少ない部分から皮膚がかさかさしてきます。このまま放置すると皮膚がひび割れたり痒い紅いぶつぶつができてくることもあります。乾燥は顔も含む全身に拡大することもあります。

【治療】
当院では通常保湿剤を処方します。保湿剤はさらさらしているものからワセリンのようにべたべたしたものまでいろいろあります。病院から処方されるもの以外でもいろいろん保湿剤を薬局で購入することもできます。一般にあまりにおいがきつくなくて塗ったときにかゆみの出ないものならなんでもよいでしょう。1日数回外用してください。 かさかさだけでなく痒いぶつぶつが出ている場合には保湿剤だけで治りにくいことがあります。その場合には外用のステロイド剤を処方することもあります。できるだけ短期間でステロイドは中止できるようにと考えていますので使うときは1日2〜3回しっかり塗ってください。

【おうちで気をつけてもらうこと】
風邪を引かない程度に暖房を少し緩めてください。暖房機の前で直接温風に長い間あたったり、電気カーペットの上で長時間寝転ぶのは乾燥をひどくして皮膚のかゆみを増します。電気毛布も少し温度を低めにして使ってください。加湿器を使われるのもよいでしょう。
入浴はかまいませんがナイロンタオルなどでごしごしこするのはやめましょう。

水虫(足白癬)

水虫(足白癬)はカビ(白癬菌)が足の皮膚や爪にすむことによって起こります。

【症状】
足のゆびの間や土踏まず、かかとなどがブツブツやジュクジュク、カサカサになったら足白癬の可能性があります。かゆいこともかゆくないこともあります。かゆくないから水虫でないとは言えません。爪が白くなったり分厚くなっている場合も要注意です。
足の裏以外の皮膚に白癬菌がつくと丸い環状になります(いわゆるいんきんたむしというやつです)。

【診断と治療】
このような症状がでたらまず皮膚科に行きましょう。病院では皮膚や爪の表面をすこし削って菌がいるかどうかを顕微鏡で調べることができます。ただし、市販の薬などを塗っていると菌が検出しにくくなります。薬は1週間以上お休みしてから検査に行きましょう。水虫と思っても別の皮膚病のこともありますので、一度きちんと菌がいるかどうか確かめたほうがよいです。
白癬菌が見つかれば治療開始です。治療には飲み薬と塗り薬があるので、あなたの症状にあわせて医師と相談して決めましょう。塗り薬は根気よく塗ってください。見た目の症状が消えてから一ヶ月くらいは塗り続けないと次の年に再発します。飲み薬はよく効きますが副作用もあり、肝臓が悪い方や貧血などの持病のある方は控えたほうがよいこともあります。もし飲むのなら医師とよく相談して、定期的に血液検査をするなど副作用のチェックを受けてください。

【おうちで気をつけること】
お風呂では足をよく洗いましょう。足拭きマットやスリッパはほかのひとと共有しないほうがいいでしょう。お湯ではまずうつりませんので、最後に入らないといけないわけではありません。靴下やタオル、足拭きマットを洗ったら完全に乾かしてください。カビは乾燥したら死んでしまうのでほかの人のものと別々に洗う必要はありません。 治療は治るまで続けましょう。根気が大事です。

Pitted keratolysis

いろいろな細菌感染でおこる足の病気です。

【症状】
足の裏、足の趾(ゆび)に円形の小さな凹み(へこみ)が多発、融合(ゆうごう)して地図状になります。悪臭、多汗があります。
Kytococcus sedentariusActinomycesStreptomycesCorynebacterium などの細菌が角層を溶かすことによるものです。

【治療】
抗生物質の塗り薬が効きます。効きの悪い場合は飲み薬を飲むこともあります。

【おうちで気をつけること】
できるだけ足を清潔にして乾燥させてください。長い時間靴をはきっぱなしの方は靴下を途中ではき替えたり、靴を2足用意して交互にはいてもいいでしょう。

ミズイボ(伝染性軟属腫)

小さい菌(ウイルス)による感染症です。
症状:わきの下や腕、胸、お尻などに芯を持った白い硬いぶつぶつが数個〜数十個できます。通常は痛くも痒くもありませんが、時に痒かったり周りに湿疹が拡がることがあります。芯のところにウイルスがたくさんいますので皮膚が直接こすれるとうつりますが、空気をとんでうつったりお風呂のお湯やプールの水でうつったりはしません。

【治療】
子供さんの成長につれて原因のウイルスに対する抵抗力(免疫)がついて自然に治るものですから特に治療の必要はありません。しかしプールに入ったり、保育所などで裸でお昼寝をする場合はほかの人にうつることがあるので必要があれば次のような治療をします。
1.ミズイボの芯をピンセットでつまみとります。痛いですがとってしまえばとったところのミズイボは治ります。 2.ウイルスに対する抵抗力を高める目的でハトムギのエキスを濃縮した漢方薬(ヨクイニン)を飲んで体の中から菌に対する抵抗力をつけます。
1.の方法ではできているミズイボはすぐとれますが、痛いので一回にあまりたくさんとれません。痛いのが我慢できない場合は痛み止めシール(病院で処方します)をとる2時間前に貼ってきてもらえばあまり痛くなくとることができます。またあまり小さいものはピンセットではつまめないのでとれなかったり、菌が残っていてとってもまたできてくることがあります。
2.の方法は痛くはありませんが効果が出るまでの時間に個人差が大きいです。早い人は2週間くらいで効いてきますが、1年以上かかるひともいます。

【おうちで気をつけること】
こすれるとうつるのでいっしょにお風呂やプールに入ると子供さん同志でうつしあいます。
必ずしも保育所や幼稚園、プールをお休みさせる必要はありませんが各施設によって方針が違いますのでそれぞれご相談ください。おうちで芯をつまみとるのは中途半端に芯が残ったり、別のばい菌をうつすことがあるのでやめたほうがいいでしょう。

単純ヘルペス(単純性疱疹 たんじゅんせいほうしん

単純ヘルペスウイルス(I型。II型)による感染症です。

【症状】
I型ヘルペスでは顔、特に口、鼻の周りに小さい水ぶくれ(水疱)がいくつか集まったものができます。II型では陰部に同様の発疹がでます。皮疹が出る数日前に同部にぴりぴりとした痛みを感じることがあります。軽い場合は治療をしなくても自然に10日から2週間で消えていきますが、アトピー性皮膚炎の患者さんが湿疹の上にヘルペスを生じた場合は広範囲に広がって発熱などの全身症状を引き起こす(カポシ水痘様発疹症)こともあります。
ヘルペスウイルスは一度感染すると皮膚の症状はおさまってもウイルスが一部皮膚の奥の神経に残ります。風邪などで熱が出たときや日光に強く当たって皮膚の抵抗力が落ちたときにこのウイルスが神経に増殖して皮膚に出てくることがあります。口の周りにできるヘルペスが「熱の花」とよばれるのはこの所以です。

【治療】
ヘルペスウイルスの増殖を抑える薬があります。飲み薬には現在1日5回飲むゾビラックスと2回でいいバルトレックスという2種類があります。発疹がでて2日以内であればこれらの飲み薬を飲むと早く発疹をおさえることができると考えられています。アトピー性皮膚炎に合併したカポシ水痘様発疹症では入院して点滴が必要になることもあります。

【おうちで気をつけること】
水ぶくれの中の汁がつくと自分にもほかの人にもうつります。口の周りにできているときはキスや頬ずりは控えましょう。陰部にできているときは性交渉でうつりますので控えてください。水ぶくれになっていないときでも時々皮膚の中でウイルスが増殖して、ほかの人にうつる可能性があるときがあります。陰部のヘルペスではほかの人にうつさないために症状がないときでも飲み薬を続けて飲む方法もあります。心配な方はご相談ください。

帯状(たいじょう)ヘルペス(帯状疱疹 たいじょうほうしん

体の抵抗力が落ちたときに水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が体の中から出てきたものです。

【症状】
体の半側(右なら右、左なら左)の神経に沿って多数の小さい水ぶくれが並びます。発疹がでる数日前から同部に痛みを感じることがあります。これは神経でウイルスが増殖する際に神経に炎症を起こして生じる神経痛です。発疹は水ぼうそうの水ぶくれと同じものですので治療を受けなくても10日から2週間くらいでかさぶたになって治っていきます。しかし痛みの強さやそれがどのくらい続くかには個人差があります。一般に子供さんは強い痛みを感じることはあまりないようですが、お年寄りの方が帯状ヘルペスにかかるとかなり強い痛みを感じることがあります。最初に強い痛みを感じるとそれが治りにくくなって神経痛が後々まで残ることがあります。

【治療】
ウイルスの増殖を抑える薬(ゾビラックス、バルトレックス)が有効です。症状がきつい場合は入院して1日3回点滴します。それほどでない場合は入院せずのみ薬でいけるでしょう。どちらにしてもできるだけ早く治療を始めることが肝心です。痛みが強い場合には適宜痛み止めを使います。それでも痛みが取れないときには神経ブロックなどの治療が有効な場合もありますので医者にその症状を伝えてください。
みずぼうそうのワクチンがこの帯状ヘルペスの発症をおさえるのに有用であるという報告があります。当院でもこのワクチン接種を行っていますのでご希望の方はお申し出ください(費用は7000円です)。

【おうちで気をつけること】
水ぼうそうにかかったことのある人には感染しませんが、かかったことのない人にはみずぼうそうがうつります。小さい子供さんやみずぼうそうをやっていない人が家族にいる場合には注意しましょう。発疹の出ている部分をガーゼなどで覆ってください。子供さんとお風呂に入るのは控えたほうがいいでしょう。
ただし、痛みは冷えると強くなるといわれています。冷やさないように気をつけて入浴する際は湯船につかってゆっくり暖めてください。
帯状ヘルペスはたいていの方は一生に一回しかかかりません。もし2回以上繰り返すことがあれば極端に体力が落ちていると考えられますので一度詳しい検査を受けることをお勧めします。

頭虱(あたまじらみ)

あたまじらみ頭虱は人間の頭の皮膚の血を吸って、髪の毛に卵を産んで増えます。この虫は飛んだりはねたりはしません。頭と頭をくっつけることや帽子やくしを一緒に使うことによってうつります。

不潔にしているからなるわけではありません。幼稚園、保育所、学校に行っている子供さんによくみられます。大人にもうつることがあります。

【頭虱がいるかどうか】
あたまじらみあなたのお子さんが頻繁に頭をかいていたら要注意です。
虫も卵も肉眼で見える大きさです。でも虫はすばやく動くので見つけることは簡単ではありません。卵は髪の毛にしっかりとくっつけられた白い細長い丸い物体です。ふけと見極めにくいことがありますが、ふけは指でしごいたらすぐにとれるのに対し、卵はなかなかとれません。あやしいと思ったら病院にいきましょう。顕微鏡で見たらすぐに区別できます。

【どうやって退治するか】
髪を剃ってしまえば虫も卵も除去できるので一番簡単です。
でも丸坊主になるのがいやならば、殺虫剤のシャンプー(スミスリンシャンプー)がありますのでそれを使うのが次に簡単です。使い方はシャンプーの箱の中に入っている説明書をよく読んでください。頭を軽く水かお湯で濡らし、一回10〜20 ml のシャンプーを全体にいきわたるようつけてください。5分おいてから十分洗い流してください。3日に一回繰りかえしてください。殺虫剤は虫には効果がありますが卵には効きません。卵がかえるのに約10日間かかりますので10日以上すなわち4回以上シャンプーを使ってください。
卵は虫が孵って殻だけになっても髪の毛にひっついています。指で強くしごくか、目の細かい櫛で何回も髪をとかすととれてきます。
枕カバー、シーツ、タオル、櫛などは使ったら洗ってください。虫は水の中でも数時間は生き続けることができますが、高温にすると死ぬのでお湯につけるとよいでしょう。シーツは乾燥機にかけるかアイロンをかけるとよいでしょう。
2週間以上スミスリンシャンプーを使ってもしまだ虫がいるようなら病院を受診してください。

一人の子供さんに頭虱が見つかると、兄弟姉妹の人にも見つかることがほとんどです。虫のいる人はいっせいに退治してください。

ジベル薔薇色(ばらいろ)粃糠疹(ひこうしん)

ウイルス(HHV7)が原因と考えられている病気です。

【症状】
まず主に胸や背中に直径1〜3cmくらいの紅い発疹がでます。それから1週間位して胸、おなか、背中、太もも、腕にもっと小さい褐紅色(赤茶色)の発疹がたくさんでます。かゆいこともあまりかゆくないこともあります。顔や手足にはあまり出ません。20〜30歳くらいの方に多く、ウイルスが原因では、といわれていますが原因の菌はよくわかっていません。お薬の副作用でこのような発疹が出ることもあるといわれています。

【治療】
特に治療をしなくても1ヶ月から1ヵ月半くらいで自然にひいていきます。かゆいときはかゆみ止めを使うくらいです。

【おうちで気をつけること】
特になにもありません。入浴も食事も普段どおりでかまいません。ほかの人にうつるという話もありませんので外出も控える必要はないでしょう。
大阪府茨木市玉櫛2-29-15 Tel: 072-632-0789